地域とのかかわりを紡ぐ

  横須賀市池上にある障害者地域作業所、コミュニティセンター・フレンズを訪れました。車いすに乗ったみなさんが大きなひとつの机を囲んで、メモ帳にステンシルで模様をつけたり、製品の袋入れをしたり、それぞれの仕事に取り組んでいます。

作業所の活動について、所長である渡邉さんにお話を伺いました。

 

 コミュニティセンター・フレンズは、身体障害と知的障害を持った成人の方が通う作業所で、ほとんどの方は車いすを使用しています。今の建物へは、東日本大震災をきっかけに5年前に引っ越してきました。

以前の作業所は耐震に課題があり、避難所へ行かなくても作業所で家族の迎えを待てるように、耐震設備が整った建物に引っ越すことになりました。

「車いすの人たちが避難所まで移動することは大変だし、避難所で過ごすことも難しいのではないかと考えた」と渡邉さんは話します。

 

 みなさんが作った製品は、地元の企業から注文をもらい、ノベルティとして使っていただくこともあるそうです。また、製品づくりには多くのボランティアが関わっており、自宅で縫いものなどの作業をして、できあがったものを作業所まで届けてくださる方もいるとのこと。地域の中にコミュニティセンター・フレンズの存在が浸透していることがうかがえます。

 

 「芸術活動というと」と渡邉さんがわたしたちに見せて下さったのは、新聞紙を広げたよりも大きな、書。紙一杯に『母』『唄』など力強い字が書かれています。それぞれが選んだ好きな字を書いたもので、横須賀市の作品展にも出展したそうです。

 

 

 作業所の中の活動だけではなく、他の作業所とのつながりもあるそうです。横須賀市内の障害者作業所の連絡会の中で、特に身体障害を持った方が多く通う作業所同士の交流として、月に1回総合福祉会館の場所を借りてスポーツなどを楽しみます。また、近隣のショッピングモールで行われるバザーへも、この連絡会のつながりの中で協力して出店しています。

 

 文化芸術のイベントに出かけることについては、「以前ホールでのコンサートにみんなで行ったことがあるが、声が出てしまうことを理由に途中で退出することになってしまった」と話してくださいました。さらに、「障害のある方を招待するイベントが最近増えていると感じる。そういったイベントは参加しやすい。また、車いすを利用する方が横になって休憩したいときに、場所などを気軽に相談できるとよい。」

と、足を運びやすくするにはどうしたらよいか、教えてくださいました。

 

 そのことは、初めに話してくださった避難所の話につながることだと思いました。さまざまな人が集まる場所に障害のある方がいるときどんなことがあったらいいのか、考えるべき余地はまだたくさんあります。それでもコミュニティセンター・フレンズで紡ぎつづけている地域との関係の先には、障害のある方があたり前にいられる風景が見えるような気がしました。

 

(川村 2018.6.28訪問)